あたまーくびーかたーうでーゆび

旅の記録、レビュウ、頭のなか、文字に残します。

身近な人

 

あねさんは仕事中にはあねさんになる。

 

とはいっても、365日のうちの360日くらいはあねさんだし、しかも24時間のうちの14時間の間はあねさんになる。

 

 

今は大原に住んでいて、民宿の女将さんになった人である。結婚して嫁いでからはずっとそこにいると言っていた。20年数年といったところだろう。 

 

 

 

最初に授かった子は女の子だった。大原の親族や近所の人々は、そこでは大きな宿の初孫に、長男を強く望んでいた。

 

生まれてきたのが女の子だったとき、あねさんのまわりの人は口々に、 「次また産むといいよ。」 と、期待と圧力のから生まれた空想の長男への言葉を述べた。

 

あねさんは自分で、 「アヤノは赤ちゃんときほんまに不細工やった!」 などと、笑いながら言っていたが、お腹を痛めて一緒にがんばった初めの子どもだったから、まわりのその反応は、悲しくも腹立たしくもあったと思う。

 

結局その2年後と4年後に、あねさんは男の子を二人産んだ。それは、周りから圧力からではなく、あねさんの子ども好きから分かるように、望んだ出産だったと思われる。

 

今はもう子どもたちも大きくなり、あねさんもその頃のあねさんよりもずっとあねさんらしくなったと言っていた。 

 


あねさんの旦那さんは若さんである。とてもしっかりしたリーダー気質の人で親父っぽいがユーモアがある。あねさんは面白い人が好きだから、きっと若さんのそういうところが好きなのだろう。

 

最近あねさんに元気がないから、アルバイトの中では、病気なんじゃないか、とかなんとかいう噂まで流れているし、なぜか本人は占いに行きたがったりしているから、余計に変な想像が生まれてくる。

 

しかし、4年の付き合いがあろうと、そういったあねさんじゃない部分に踏み込むのは難しい。 

 

昨日は1日久しぶりの休暇だったと聞いている。だから、おそらく昨日だけはあねさんはあねさんではなく、お母さんか、奥さんか、チエコさんだったのだと思う。 

 

05/2017